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いやー凄いドラマでした!びっくりです。
沖縄の基地問題に真っ向から取り組んだ画期的な作品です。
エルピスや新聞記者もすばらしかったけど
もうそれを越えるぐらいの傑作社会派ドラマ。
松岡 茉優(まゆ)さん扮する主人公「キー」。
キャバ嬢の過去を生かし潜入レポを書くライターです。
沖縄に取材に行くことになります。
米兵に性暴力を受けたと訴えるブラックミックスの大嶺さくら。
カフェを経営しています。
演じるのはミスユニバース日本代表の宮本エリアナさん。
この方てっきり沖縄出身かと思ったら長崎出身ということでした。
セリフの沖縄らしさがすごく自然でした。
朝ドラ「チムドンドン」では完全スルーされた沖縄の基地問題がバンバン出てきます。いきなり轟音を撒き散らして飛ぶオスプレイ。
激戦地南部の遺骨の混じった土砂を米軍基地の埋め立てに使うなのポスター。
こういうことがドラマで描かれるなんて!。
基地問題の入門としても最高にオススメなドラマ
沖縄のオバー役といえば吉田妙子さん。平和運動をしています。
大嶺さくらのお婆さんでもあります。
実は平和運動の追い風にするために暴行事件をでっち上げたのでは?
と疑うわけなんです。
しかしその裏には別の事実があったのです。
観光向けにつくられた沖縄ではないリアルな沖縄。
沖縄は激戦地となり米軍基地がたくさん作られその統治が長く続いた。
戦争で日本本土の防波堤となったあとはアメリカに売り渡された。
そこでは沖縄人の人権は守られなかった
本土に復帰してからも基地をたくさん押し付けられ今に至っている
沖縄を描く時に米軍を描かないというのはもうなにかファンタジーにしか見えないんですね。正直チムドンドンをみた時に自分の物語と感じることができなかった。
しかしこのフェンスでは脚本の乃木さんは100人もの人に取材したらしく、警官、米兵、その婚約者、カウンセラー、性暴力被害者、ブラックミックス、防衛局職員、戦争PTSD、さまざまな人々が出てきますが、そのセリフやシュチュエーションがすごくリアルで本当にこんなことがあったのだろうと思わせるものなんです。
大嶺さくらが基地反対のデモに参加するのですが参加者の一人が彼女のブラックミックスの容姿を見て怒鳴ってくるシーン。
実は大嶺さくらにはモデルがいます。
ブラックミックスで基地反対運動にも参加している方です。
一度会って話したことがありますが
200%ウチナーンチュであまりにも親しみやすい方でした
とても明るいのんびりした方でしたが
ブラックミックスがゆえにさまざまな差別に晒されてきたと思います
ウチナーンチュの俺ですらモヤモヤーっとこんな感じなのか?と思っていたことがはっきり輪郭をもってわかったというか。
そしてマブイ(魂)やヒヌカン(火の神)という沖縄文化まで入れ込む脚本が深すぎる。
辺野古座り込みや日米地位協定、水の汚染のピーファス、
これが俺たちの島の物語なんだと言う実感を強く持つことができました 脚本の乃木さんやスタッフの方達にありがとうと言いたいです。
捜査に日米地位協定の壁が立ちはだかる。
犯人を目の前にして逮捕できないという悔しさ。
現場で捜査する警官たちの苦悩。
警官役にもモデルがいるそうです。
彼の担当した事件が脚本に取り入れられているのでしょう。
演ずる青木崇高(むねたか)さんは沖縄大好きらしくセリフも完璧でしたね
以前ディープなコザという番組にも出演していたようです(みたい!)
そして我らが藤木さん(志ぃさーさん)
犯人確保のゴーサインを出すところ本当に燃えましたね。
かっこいい役でよかった
そしてお話も犯罪ミステリーものとしてすごくよかったです。ブラックミックスの女性と元キャバ嬢のバディものでもあるわけです。そして女性が抱える生きづらさ。そこにもしっかり描かれます。フェミニズム作品でもありますね。
この作品は沖縄でも作ることができなかったと思います。
分断されてしまった県民同士ではなかなか本音が言えないと言うところもあるからです。そして大和の人にはその複雑な内情が理解しにくいものです。それをこんなふうに立体的に分かりやすくに描いたのは本当に画期的なことです。これ以降の沖縄映画はこのフェンスを必ず参考にするんじゃないかな。
またロケ地としてのコザの街もほんと魅力的ですね。
撮影や演出も映画レベルなのでほんとよかった。
JO1の興那城さんが出演していたことも素晴らしいです。韓国プロデュースのグローバルアイドルグループのメンバーが自分の足元の大きな問題に取り組んでくれるということはすばらしいです。JO1ファンの人たちもこれを見てくれてるようで嬉しい。
あと音楽もとても良かったですね。特にレゲエサウンドや三線の入った音楽が心に残りました。(いいなぁ〜俺も音楽でこういうドラマに関われたら最高だなぁ)
主題歌のAwichのTSUBASAも本当にぴったりの作品。
PVには辺野古近くの凄い坂や潟原干潟もでてきますね。
作曲は世界のジャズ&ヒップホップシーンで活躍する日本人キーボーディスト「BIGYUKI」さん。
松岡茉優さんと言う存在も初めて知りました。
とても良い映画ばかり出ている方なんですね。
主人公キーの半分やぶれかぶれな体当たりオトリ捜査が事件を解決していくところにつながっていくのが面白かった。そして彼女の胸の内も途中であかされることに。性暴力、そしてそのPTSDまでもしっかり光を当てた作品。
傑作ドラマでした。
沖縄を描いたドラマとしては「ナビィの恋」以来の画期的な作品だなと思いました。
重いテーマなので見ることを躊躇する人もいるだろうがぜひ見てほしい。
最後に大きな勇気もらえます。