子供の時は
オジーの歌う島唄は
みんな同じに聞こえた。
正直退屈だった。
床の間に飾られた三線も
誰にも弾かれることもなく
埃をかぶって
泡盛の瓶に寄りかかっていた。
20歳になって、
生まれた時に仕込まれた
泡盛を飲めるようになって
改めて三線に触れてみる。
蘇るオジーの姿。
テレビを見ていたっけ。
歌っていた歌はなんだったんだろう
愛おしさに胸が張り裂ける。
長い冬眠の時期を経て
心の中の三線の花が咲いたのか
島の海も
島の風も
そのものは何も語ってくれるわけじゃないけど
風は雲を作って
雲は雨を降らせて
それは自分のこころに
いつの間にか何かを育ててくれていた
それは三線の花だったんだ
ビギンのこれ以上はないっていうほどの
三線讃歌だよね
俺も実家に三線があるってずっとしらなくて
押入れからケースが出てきて
その蓋を開けて
皮の破れた三線がでてきて
まるで冬眠から目覚めたような気がしたんだよね
いろいろ世界の民族音楽や
現代音楽やら聞いてきて
足元にあった大事なものに気づく
三線がある島に生まれてほんとによかったよね